パネル工法の家とレンガの家、建てるならどっち?
木質パネル工法とは、製造済みの木質パネルを組み立てて家をつくる工法のことです。ちなみに、パネルは、格子組フレームにプレス合板をくっつけた物です。工場であらかじめパネル(床・壁などの構造体)を製造しておき、それを現場まで運ぶ方法がとられます。プレハブ工法のひとつであると考えても差し支えないでしょう。
パネル工法の家とレンガの家の
メリット・デメリットを比較
パネル工法の家にも、レンガの家にも、それぞれ異なるメリットおよびデメリットがあります。「家を建てたいと考えているけれど、どちらのタイプを選ぶべきか迷っている」という方は、自分のニーズにより適している工法を選ぶためのヒントとして、ぜひご一読ください。
パネル工法における3つのメリット
短い工期
現場に既製品であるパネルを持ち込んで組み立てていく工法なので、基本的に工期は短くなります。あくまで一般的な目安ですが、たとえば、木造軸組工法(在来工法)で家を建てる場合と比較してみましょう。
木造軸組工法の場合、工期はおよそ4か月から半年です。一方、木質パネル工法であれば、2か月から4か月ほどなので、工期には2か月間の差があります。あまり工期を長くとることができない方にとっては、注目ポイントだといえるでしょう。
安定の品質
規格化した壁や床、天井などのパネルを、あらかじめ工場で製造する方法であるため、品質管理がしやすいというメリットがあります。家を建てる職人さんによって品質にばらつきが出ににくいわけです。
断熱性・気密性・耐震性が◎
パネルを工場で製造する際に、断熱材や下地材、電気配線などをパネルに組み込みます。そのパネルをつかって家を組み立てていくわけですから、当然、断熱性や気密性の高い木造住宅ができあがりますね。また、面の性質を活用して地震の揺れによるダメージを分散されやすくなるように設計をおこなっている会社もあるので、その場合、耐震性も高い住まいとなるでしょう。
パネル工法がもつ2つのデメリット
建てられる場所が制限される
パネル工法を用いると、場所によっては家を建てられないことがあるので、注意が必要です。道幅が充分にない場所や道路が入り組んでいる場所、広さの足りない土地、変形した土地などが、それに該当します。
製造したパネルを現場に搬入しなくてはならないのですが、道路経路によっては、それが不可能になってしまうからです。また、クレーン車による搬入が必要な場合はその輸送コストがかかってしまう、という事情が、パネル工法を断念する理由になることもあります。
自由な間取り・設計が難しい
規格化されたパネルを組み立てて家をつくる方法であるため、設計や間取りなどに関する、こまかいニーズにひとつひとつ対応できないのも、この工法のデメリットだといえます。たとえば、大きな窓や広いスペースなどのデザインは、一定以上のサイズになると、実現するのは難しいようです。
リフォームしづらい
くりかえしになりますが、木質パネル工法はパネルという「面」を組み合わせる建築方法なので、のちにリフォームを加えるのは、難しい場合が多いです。リフォーム内容によっては可能なものもありますが、対応できる業者は限られています。
レンガの家のおもなメリット3つ
【1】メンテナンスが要らない
戸建住宅を建てる際につい忘れてしまいがちなのが、将来継続的に必要になるメンテナンスです。中でも、外壁は10年に1度はメンテナンスが必要になるので、一般的な工法や建材で家をつくった場合には、手間やコストは決して小さなものではないということを把握しておくことが大切です。
その点、レンガの家であれば、定期的なメンテナンスが必要ないので、一度家が建ってしまえば、その後のお手入れやコストの負担を軽減できるでしょう。耐久性の高さがレンガの大きな特長でもあるので、外壁などのメンテナンス費用をほとんどかけずに、レンガ特有の味わい深さを100年以上キープすることができます。もちろん、塗り替えなどをおこなう必要もありません。
【2】優れた耐熱性
グラスウールやセルロースファイバー、発泡ウレタン、外断熱など、木造住宅で採用することができる断熱材は、レンガの家であっても問題なく使用可能です。特に、レンガの家の場合は、基礎のスラブから立ち上げられたレンガで建物をくるむ構造になっています。レンガは内側に気泡がある素材なので、空気の壁のようなものができるわけです。その結果、他の一般的な工法で建てられた家よりも、断熱性においては、よりすぐれている場合が多いといえるでしょう。
レンガというと、どうしてもその味わい深さや独特な風合い、落ち着いた雰囲気、重厚感など、外観上のよさに注目が集まりがちです。けれども実際には、機能性においても非常に充実した素材であることがわかりますね。快適な環境で暮らしていきたいと考えている方には、とても魅力的な素材であるといえるでしょう。
【3】地震にも強い
施工方法を工夫することで、レンガの家は、かなり耐震性に優れた家になります。たとえば、2×4工法や木造軸組工法やなどの外側にレンガの組積造を緊結していく方法で家を建てると、それぞれの良さが活かされるため、耐震性がアップします。また、大地震のあとには火災が発生することがありますが、レンガは耐火性能が高いので、家の構造躯体を保護するのにも役立ちます。
レンガの家のデメリットとは
工期がやや長くなる
工期が長くなりやすい傾向があります。というのも、レンガの壁をつくるには、レンガを一段ずつ積み上げては、モルタルでそれを固定し、さらにモルタルが乾くまで時間をおく必要があるからです。天候の影響を強く受けるため、雨の日が続くと、さらに工期は長くなります。工期が延長されると、それによって人件費も増加していきます。
施工に対応している工務店はあまり多くない
レンガの家の施工に対応できる業者が少ないことも、デメリットのひとつであるといえます。外壁にレンガを使用して家を建てる人はそれほど多いわけではないので、業者側も、豊富な施工経験を積むのは難しいでしょうし、なにより、施工自体の難易度が高いということがネックになっています。ですから、業者選びには少し苦労するかもしれません。
パネル工法とレンガの家を比較
ここまで、パネル工法のメリットやデメリットについてまとめました。パネル工法のメリットである断熱性や耐震性などに興味のある方は、レンガの家もチェックしておくことをおすすめします。以下に、パネル工法とレンガの家で似ている・異なるポイントの比較をまとめました。
パネル工法とレンガの家で似ているポイント
断熱性・耐震性
パネル工法とレンガの家において、断熱性や耐震性が高いという点が似ています。
断熱性の面で見てみると、パネル工法の家ではパネルを製造する際に断熱材を組み込みます。一方レンガの家では現場でレンガを積み上げていくものの、レンガの内部にある気泡によって夏涼しく冬暖かな住まいを実現できます。
耐震性に関しては、パネル工法では面の性質を利用して揺れに耐えられる構造に。レンガの家では、レンガに鉄骨を通すことで強度を高めています。
パネル工法とレンガの家で異なるポイント
建築にかかる時間
パネル工法のメリットとして「工期が短い」という点があります。工場で加工済のパネルを現場で組み立てるだけのため、工期の大幅な短縮が可能です。たとえば木質パネル工法なら、2ヵ月~4ヵ月ほどの工期で施工することができます。
一方レンガの家は、建てるのに時間がかかるといわれています。レンガをひとつひとつ慎重に積みながら組み立てるため、時間がかかってしまうのです。
そのため「とにかく早く家を建てたい」という場合はパネル工法がおすすめです。スケジュールに余裕を持たせられる方は、自由な間取り設計や高耐久性が叶うレンガの家を検討してみてはいかがでしょうか。
パネル工法とレンガの家はどんな人に向いている?
このページでは、パネル工法の特徴やメリット・デメリットなどを紹介するほか、レンガの家との比較についてまとめました。
パネル工法は「短い工期で安定した品質の家を建てられる」というメリットがあるほか、耐震性や断熱性に優れています。家を建てる場所によってはパネル工法を採用できないケースも。間取り設計の自由度が限られる場合もあります。
そのため「耐震性や断熱性を確保したいけれど、間取りの自由度もほしい」という方は、レンガの家がおすすめです。レンガの家は耐震性や断熱性に加えて、耐久性にも優れています。間取り設計も自由に行えるため、大空間リビングや吹き抜けなども実現できるでしょう。