ツーバイフォーとレンガの家
ツーバイフォーの家のメリットとは?レンガの家とどちらが良い?
木造住宅の代表的工法であるツーバイフォー。アメリカで生まれたこの工法はいまでは多くの国に伝わり、本場アメリカでは木造建築物の9割で用いられています。その特徴は何より強さ。その強さゆえに地震の多い日本でも採用される機会が増えつつある工法です。しかし耐久性で言えばレンガの家も負けてはいません。ヨーロッパではレンガの家が立ち並ぶ風景がしばし見受けられます。そしてそのレンガの家は100年以上もメンテナンスひとつせず住み続けられているのです。そこで、ここではツーバーフォーの家とレンガの家のどちらがよりお得なのかをそれぞれのメリット、デメリットを挙げて検証してみました。
ツーバイフォーのメリット
ツーバイフォーは明治時代に日本に入ってきた意外に古くからある工法です。まずはツーバイフォー工法のメリット、デメリットを見ていきましょう
耐震性、耐風性がとても高い
日本では地震が頻繁に起こるので、できる限り耐震性の高い家を建てたいと思っている方が多いはず。ツーバイフォーは、元々強度が必要な航空機のためにつくられた構造で、非常に耐震性の高い工法として知られています。
ツーバイフォー工法では、家全体が壁面4パネルと、床面、屋根面の2パネルで構成されています。在来工法との違いは、柱や梁がないこと。地震や台風などの強い力が建物に加わった時に、6つのパネル面の全体に効率よくエネルギーが分散されていくのでとても高い耐震性を発揮します。
実際に阪神淡路大震災以降の地震では、ツーバイフォー住宅への被害は圧倒的に少なかったと言われています。
気密性、断熱性が高い
ツーバイフォー工法は壁、床、天井のパネルを均一サイズの角材と組み合わせて箱を作るような工法です。この面パネルと面パネルを組み合わせて作られた箱は気密性能が高いというメリットが生まれます。気密性が高まるということは断熱性能も同様に高まるということになり、冬暖かく夏涼しい家ができるのです。
工期が短い分コストダウン
ツーバイフォー工法は工期を短くできる工法です。元々はアメリカで簡単に家を建てることを目的として生み出されたもの。したがって構造体がとてもシンプルにできており、高度な技術を要することなく家を建てることができるのです。
現在では多くの住宅メーカーがこの工法を取り入れ、建築部材のそのほとんどを工場で生産。クオリティを守りつつ、現場での作業を大きく減らすことができるのです。大工さんの拘束時間も減る分、工費が従来の工法よりも下がる結果となっています。使用する材料によっても価格は変わってきますが、強度を求める方にとってはコスパの良い工法だと言えるでしょう。
ツーバイフォーのデメリット
部材の規格統一化
建築部材のほとんどは工場で大量生産されており、規格が統一化されている場合も多々あります。他にはない自分だけのオリジナリティあふれるデザインの家を作りたいという方には不向きな工法だと言えます。
間取りに制限があることが多い
ツーバイフォー工法は一度完成してしまうと、その後自由に間取りを変更するのは難しい工法です。6つの面パネルが箱のようになって建物全体のバランスを取っているので、その壁を抜いて増改築するのが構造上難しくなっています。壁を抜くことができたとしても、著しく建物のバランスを崩してしまうことにもつながりかねません。
また、開口部を大きくとることも難しくなっています。例えば、室内にふんだんに太陽光を取り入れたいという思いから壁一面に大きな窓を取り入れたいといった場合、やはり壁パネルを大きくくり抜くことになりますので、強度がガクッと落ちてしまいます。
高気密、高断熱であるがゆえのデメリット
高気密、高断熱であることで外と部屋内の温度差が非常に大きくなります。そのことで結露が生じやすくなり、カビなどが発生しやすくなってしまいます。したがって結露対策は必ず行わなければなりません。元々湿度の少ない国で生まれた工法ですので、特に湿度が多い地域では、あまり相性が良くない工法だと言えます。
レンガの家のメリット
次はレンガの家のメリット・デメリットを見ていきましょう。ツーバイフォーと比べどんな面にメリットがあるのか注目です。
レンガの家は長寿命
ヨーロッパの街並みを見れば数100年まえからそこにあるというレンガ建築物がいたるところにありますよね。レンガの家の最大のメリットは、まさに寿命が長いこと。ツーバーフォー工法は平均でも30年程度が寿命だと言われています。
また、レンガは気候条件に左右されにくいのも特徴のひとつ。海に近いところに建てた場合も、塩害によるレンガのいたみは心配ありません。また豪雪地域では雪の重みで家が潰れるという心配もあるなか、雪の重さにもビクともしないレンガの家は重宝されること間違いなしです。
耐熱、断熱性能が高く、防音性も高め
1000℃以上の高温で焼かれてできているレンガはおのずと耐熱性能が高いのはわかりますよね。またレンガは夏の強い日差しも反射してくれるため、室内を涼しく保つことが可能。反対に、部屋内からの暖気を外へ放出しにくいので部屋内を暖かく保つこともできます。
昔からレンガ造りの倉庫が多いのは、この気密性の良さゆえのものだと言えます。
また、防音性が高いのもレンガの特徴のひとつ。レンガそのものが音を通しづらいので、外からの音をシャットアウトし、部屋内の音も外に漏らしません。
耐震性も申し分なし
レンガの家を検討する際、多くの人が心配するのが耐震性。一つひとつ積み上げるイメージのあるレンガの家は、地震で揺れるとすぐに崩れるイメージのある方も多いのではないでしょうか?しかし、地震の少ないヨーロッパのレンガの家が、地震の多い日本で改良されていないはずがありません。建物を支える構造体とレンガの壁の間に空気層を作ったり、レンガにステンレス筋を通したりといった工夫により、従来のレンガ造りに比べかなり強度を上げることができるのです。
メンテナンスの手間がかからない
レンガを使った外壁は耐用年数が非常に長いことで知られています。メンテナンスはほとんど必要なく、実際レンガの家が多いヨーロッパではメンテナンスなしで美しさを保っている歴史的建造物も多数。むしろ経年による色褪せなどを楽しめるのがレンガの家の魅力です
レンガの家のデメリット
施工業者が少ない
近年、レンガ造りの家を見る機会もだいぶ増えました。それでもレンガの家を建てることができる施工業者はまだまだ少ないと言わざるをえません。現在の住んでいる地域や家を建てる建設予定地の近隣に実績のある施工業者がないといったケースも見受けられます。
リフォームが難しい
レンガの家ではリフォームや増築は難しいというのが一般的です。たしかに、外壁のレンガそのものを壊したり、穴を開けたりといったことはできません。ただし、内装のリフォームならばある程度は問題なくできますが、増改築も視野に入れている方にとっては不向きな工法です。心配な方は設計の段階から先々のことを考慮に入れた計画は必要となってきます。
尚、解体する場合は、一般的な住宅よりは解体費用が多くかかります。
工期が長くなる
レンガは1つ1つを職人が積み上げていきます。したがって、おのずと工期は長くなってしまうのがデメリットのひとつ。そのことで大工さんの人件費などは通常よりは多くかかることになります。
ただし、コストパフォーマンスに関しては意外にもそんなに高くないのです。ツーバイフォーなどの木造建築だとかかってくるメンテナンス費、そして気密性による光熱費の削減などがあるので、家を建てる際のコストこそ少々割高ですが、何十年と長いスパンで見た時に、トータルのコストでは安く済んでいるという場合がほとんどです。
まとめ
レンガの家とツーバーフォー工法のそれぞれのメリット・デメリットを検証させていただきました。ツーバイフォー、レンガの家どちらも海外から来た工法で注意は必要ですが、それぞれに良い部分があります。ただ、コスト面やメンテナンスの必要性など、目先のことだけではなく何十年と先までを考えて、より地域性や生活スタイルに合わせた工法を選ぶことが大切です。