鉄骨造のレンガのメリット・デメリット
家を建てる際、住宅構造で悩む方も多いのではないでしょうか。建物構造にはいくつか種類がありますが、よく知られているのは木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造です。どの種類の構造にも、メリットとデメリットがあります。自分に合った家を選ぶためにも、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。
ここでは鉄骨造の種類、鉄骨造のメリットとデメリットを詳しく解説します。また、レンガの家と比較した際の似ているポイントや異なるポイントもまとめました。
鉄骨造とは?
木造や鉄筋コンクリート造は、家を建てる時の住宅構造として選択されることが多い構法です。その一方で鉄骨造はあまり知られていないためか、鉄骨造を選ぶ人は少ない傾向にあります。
鉄骨造とは鉄骨を柱などの材料に使っており、S造とも呼ばれている構造です。鉄骨造には、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の二つの種類があります。それぞれでどのような特徴があるのか、ここからは重量鉄骨造と軽量鉄骨造について詳しく見ていきましょう。
重量鉄骨造
重量鉄骨造は鋼材の厚みが6mm以上あるもので、法定耐用年数は34年ほどです。重量鉄骨造の家は重いので、地震が来た際衝撃を吸収しやすく、強度も高いというメリットがあります。また、高層マンションにも使われることから安全性は高いと言えるでしょう。それから柱と柱の間隔を大きくあけて、柱のない広いスペースを作り出すことも可能です。
一方で、建築費用が高くなってしまう傾向があり住宅にはあまり使われません。重量鉄骨造は、工場など大規模の建物に用いられることが多いのが特徴です。
軽量鉄骨造
軽量鉄骨造は鋼材の厚みが6mm未満のもので、法定耐用年数は19~27年程度です。メリットとしては鉄骨の厚みが薄く工期も短い期間で済むため、重量鉄骨造と比較すると建築費用が安くすみます。間取りを自由に設計することができるのも魅力です。
デメリットとしては、重量鉄骨造の住宅と比較すると耐震性は低い点です。また、遮音性も重量鉄骨造の住宅より低い傾向があります。軽量鉄骨造は一般住宅など小規模の建物に採用されやすい構造です。
鉄骨造のメリット
軽やかでデザイン性が高い
軽やかでデザイン性が高いのは、鉄骨造の家のメリットの一つです。鉄筋コンクリート造は鉄骨造のような軽やかさを作り出すことは難しく、硬くて重量感を感じさせる建物になります。硬さを求めるなら鉄筋コンクリート造、デザイン性を取るなら鉄骨造が良いかもしれません。
また、鉄骨造の建物が与える軽やかですっきりとしたシャープな印象は、木造で建築した建物の柔らかさとはまた異なる味わいがあります。
間取りの自由度が高く大きな空間も作れる
鉄骨造の家は、柱と梁だけで成り立つ鉄骨ラーメン構造がよく用いられます。柱と柱の間隔をある程度自由に決めることができ、耐力壁も不要です。したがって、部屋のサイズなど間取りやデザインの自由度も高くなります。ワンフロアのような大きな空間や大きな開口部を作ることもできるので、開放感を生み出す住まいを建築できるのがメリットです。
広々とした空間で過ごしたいという希望に向いています。
リフォームやリノベーションに対応しやすい
鉄骨造の家は間取りをある程度自由に決めることができ、また耐力壁も必要ありません。自由が効く分、鉄骨造の住まいはリフォームやリノベーションに対応しやすいのがメリットです。
また、家族の成長や生活の変化に対応して間取りを変更しやすいのも長所の1つ。大きな子ども部屋を二つの部屋に分割したり、逆に二つの部屋を一つにしたりすることもできます。将来リフォームする際、間取りの変更もしたいと考えている方には鉄骨造の家はおすすめです。
鉄骨造のデメリット
断熱性が低く音が漏れやすい
鉄骨造の家は壁が薄く、柱と梁のみでできた構造です。それが原因で断熱性が低くなってしまい、断熱対策をしなければ寒い住まいになってしまうことも。また、断熱性能が低いと結露が発生してしまい、カビやダニ、それからシロアリの発生にもつながってしまいます。遮音性に関しては、木造よりもやや高めです。しかし、壁が薄いため外部からの音を遮断しにくく、また音が外部に漏れやすいため対策が必要となります。
耐震性について
重量鉄骨造の住宅は耐震性があり、また津波にも強いのがメリットです。しかし、一般的に住宅の建設の際はコストパフォーマンスが良く、見た目が良い建物を作ることができる軽量鉄骨造が用いられます。軽量鉄骨造住宅の耐震性は木造住宅より優れていますが、重量鉄骨造の住宅と比べるとやはり重量のほうが耐震性は上です。
軽量鉄骨増で耐震性を確保したい場合は、部材と部材の接続箇所の強度を念入りにチェックしておくのが良いでしょう。また、鉄は重さがあるため、揺れを強く感じる傾向があります。揺れにより家具が倒れないよう、滑り止めの設置もしておくといざという時の被害を抑えられるでしょう。
耐火性について
鉄骨造の家は木造の家と違い、燃えないので火事に強いというイメージがあるかもしれません。しかし、家などの建物が火事で燃えてしまうことよりも、建物内にある家財が燃えることで被害が広がるケースのほうが多いとされています。
また、鉄は木のように燃えませんが、耐火被覆で覆うなどの処置を施さなければ、高温により変形してしまうこともあるのがデメリットです。
鉄骨造とレンガの家を比較
ここまでは鉄骨造の種類とそれぞれの特徴、そして鉄骨造のメリットとデメリットについてお伝えしました。ここからは重厚感があり、ヨーロッパの雰囲気を漂わせるレンガの家と鉄骨造の家を比較します。
鉄骨造とレンガの家で似ているポイント
重量鉄骨造で作られた建物と同じく、レンガの家は強度が高く地震に強いのがメリットです。レンガの家は、豪雪地帯の雪の重量にも耐えることができるほどの強度を誇ります。
一方で、レンガの家が並ぶヨーロッパは日本のように地震が多発しません。そのためヨーロッパで建てられたレンガの家は、耐震性があまり高くないとされています。ただ、日本で建てられたレンガの家は、地震に耐えられるような造りで建てているので安心です。
鉄骨造とレンガの家で異なるポイント
鉄骨造の住宅は10年おきにメンテナンスが必要ですが、レンガの家は何か大きな問題でもない限りメンテナンスをする必要はありません。レンガの耐久性はとても高く、一世紀以上前に建設されたにも関わらず、今でも美しいままのレンガの建物も存在します。レンガで造られた家は時の経過により色あせた部分さえも、美しく見せてしまうのが魅力です。
次に、鉄骨造の家は将来的に間取りを変更するなどリフォームしやすいのに対し、レンガの家はリフォームしにくいといった特徴があります。レンガの家を建てる際には、ずっと住み続けられるような設計と間取りを考えておかなければなりません。
その他の異なるポイントとして、鉄骨造の家と異なりレンガの家は耐熱性に優れています。機密性も高く室内の熱を逃さないので、冬は暖かく過ごせるのがメリットです。日光のような外部からの熱をレンガは吸収しないので、夏場でも涼しく過ごせます。それからレンガは厚みがあるので遮音性能が良いと言われており、音漏れや騒音の心配もないでしょう。
鉄骨造とレンガの家はどんな人に向いている?
鉄骨造独特のシンプルで軽やか、そしてシャープなデザインの家が好みな方は、鉄骨造の家が向いていると言えるでしょう。また、大きな空間を作って開放的な家に仕上げたい方、将来的に間取りを変更してリフォームやリノベーションしたいと思っている方も、鉄骨造の家がおすすめです。
一方で、鉄骨造住宅のように定期的にメンテナンスをするのが面倒だと考えている方や、時間が経っても趣がありいつまでも美しいヨーロッパ風の家に住みたい方は、レンガの家がおすすめです。また、外の気温の影響を受けにくい家に住みたい方、室内でピアノやギターなど楽器の演奏を楽しみたい方は、レンガの家が向いているでしょう。