鉄筋コンクリート造とレンガの家
いざ家を建てるとなると、どんな素材の家にしようか迷ってしまうでしょう。木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造など、建物構造には様々な種類があります。ここでは構造の中の1つ、鉄筋コンクリート造について紹介します。種類やメリットとデメリットを詳しくお伝えし、またレンガの家と比べて似ているポイントや異なるポイントもあわせて解説。鉄筋コンクリート造の家やレンガの家に興味がある方向けの情報をまとめています。
鉄筋コンクリート造とは?
家を建てる際、住宅構造の中でも木造が一番ポピュラーですが、鉄筋コンクリート造もまた人気のある構造です。鉄筋コンクリート造はRC造とも呼ばれており、柱や梁、床、壁などの部分に鉄筋とコンクリートが使われます。鉄筋コンクリート造は主にビルやマンションなどに用いられますが、最近では一般住宅でも鉄筋コンクリート造の住宅が作られることが増えてきました。
鉄筋コンクリート造には主に2種類あり、ラーメン構造と壁式構造があります。どのような特徴があるのか、それぞれ見ていきましょう。
ラーメン構造
鉄筋コンクリート造で作られた建物のほとんどは、ラーメン構造が使われています。特にマンションのような大きな建物によく用いられている構造です。ラーメン構造は柱と梁で形を造りそこで強度を確保するため、間取りの自由度が高く設計の幅が広いというメリットがあります。大きな空間を作り出すことや窓を好きな場所に設けることも可能です。一方で、ラーメン構造を用いると建物の中に梁や柱が出てしまいます。
壁式構造
壁式構造はラーメン構造のように柱や梁ではなく、壁で支える構造です。低層マンションによく採用されています。壁式構造は柱がないので、家具の配置がしやすいすっきりとした四角い部屋を作りやすいのがメリットです。またラーメン構造と異なり、建物の中に梁や柱が出ません。
デメリットは壁のみで耐性を確保している点です。ラーメン構造のように大きな空間を実現しにくく、開口部のサイズに制約が出ることもあります。
鉄筋コンクリート造のメリット
耐久性が高い
鉄筋コンクリート造の住宅は鉄筋とコンクリートが使用されているため、木造住宅と比較すると耐久性が高めです。メンテナンスを行えば、耐久年数は120年から150年ともいわれています。
地震に強い
木造の家と比較した場合、鉄筋コンクリート造の家は耐震性も高いのがメリットです。鉄筋コンクリート造の家では鉄筋とコンクリートが使われますが、鉄筋は引っ張る力に強く、コンクリートは圧縮される力に強いという特徴があります。お互いのメリットを合わせることにより、地震が起きた場合鉄筋が横揺れを、コンクリートが縦揺れを支えてくれるのがメリットです。
また、鉄筋コンクリート造の壁式構造は4面の壁、床、天井の6面がコンクリートでできたモノコック構造と言います。建物を壁全体でバランスよく支えているため、強度が高く耐震性を確保できるのも長所の1つです。
断熱性や気密性が高い
鉄筋コンクリート造の住まいはコンクリートを流し込んで作られるので、気密性が高くなります。遮熱材や断熱材とあわせて使用すれば、断熱性の優れた住宅を建設できて過ごしやすくなるでしょう。断熱性が高いと外気の影響を受けにくくなり、その結果省エネ効果を向上させることも可能です。
耐火性に優れている
鉄筋コンクリート造の家で主に使われているコンクリートは、木のように燃え切ることはほぼありません。また、鉄筋も燃えにくい材質です。したがって、鉄筋コンクリート造住宅は耐火性が高いと言えます。鉄筋コンクリート造は建築基準法では耐火建築物とされており、火事の炎が燃え広がるのを防ぐ能力があるとされている構造です。
遮音性が優れている
コンクリートはとても遮音性が高い材料です。鉄筋コンクリート造住宅は床や壁がコンクリートで作られているため、外部からの音を遮断してくれます。家の外が車通りの多い道路であったとしても、部屋の中は静けさを保ちやすいが魅力です。
鉄筋コンクリート造のデメリット
建築費用が高額
鉄筋コンクリート造の住まいは木造住宅と比較すると、建築費が高くなります。木造や鉄骨造と比較すると坪60万円から100万円ほど高くなってしまうので、費用面で断念するということもあるかもしれません。
鉄筋コンクリート造の家は重い
鉄筋コンクリート造の家では鉄筋やコンクリートを用いるため、鉄筋コンクリート造で建設された家の重量はとても重くなります。土地に十分な強度がないと、まずは地盤を改良しなければなりません。その分、建築費が高くなってしまいます。
結露の問題
鉄筋コンクリート造住宅は気密性が高いので、木造住宅のように自然に換気が行われることがありません。換気がしづらいと、結露が発生しやすい状況になります。もし鉄筋コンクリート造を選ぶなら換気が大切です。24時間換気のように対策を導入する必要があります。
鉄筋コンクリート造とレンガの家を比較
ここまでは鉄筋コンクリート造の特徴とその種類について、そして鉄筋コンクリート造のメリットとデメリットについて説明しました。それでは、ここからは洋風な雰囲気で、お洒落な外観が魅力のレンガの家と鉄筋コンクリート造を比較していきましょう。鉄筋コンクリート造とレンガの家の似ているポイント、異なるポイントをご紹介し、それぞれの家がどのような人に向いているかについても解説します。
鉄筋コンクリート造とレンガの家で似ているポイント
鉄筋コンクリート造の家とレンガの家は、共に耐久性がとても高い構造です。鉄筋コンクリート造住宅の耐久年数は120年から150年ほどで、レンガの家に関しても100年以上と言われています。
鉄筋コンクリート造住宅と同様に、レンガの家も耐震性に優れています。ヨーロッパで建設されたレンガの家は地震にあまり強くありません。しかし日本では耐震性を向上させるため、レンガで作られた建物にはステンレスの鉄筋が使用されているのがポイントです。鉄筋を組み込むことで、日本でも住み続けられるレンガの家を建てられます。
それからレンガの家も鉄筋コンクリート造住宅と同じく耐熱性が高めです。レンガの家は日射や外気温に影響されにくいので、夏でも室温が上がらず涼しく過ごせます。また機密性により室内の熱を維持することから、冬でも暖かく快適に過ごすことが可能です。
耐火性が高いのも、鉄筋コンクリート造の家とレンガの家で共通しています。レンガは土を乾燥させて焼き固めたものなので、耐火性があり、またどちらの家も遮音性に優れています。
鉄筋コンクリート造とレンガの家で異なるポイント
鉄筋コンクリート造の家もレンガの家もいずれも耐久性に優れており、100年以上住み続けることができます。しかし、鉄筋コンクリート造の住まいには定期的なメンテナンスが必要です。一方でレンガの家はメンテナンスフリーとされています。修理しなければならない箇所がない場合、メンテナンスをしなくても良く、ヨーロッパで建てられたレンガの家のほとんどは、ほとんどメンテナンスされていません。
それから鉄筋コンクリート造は工業用素材が使われていますが、レンガは自然素材です。鉄筋コンクリート造の家よりレンガの家の方が自然素材の良さをを感じられるでしょう。
鉄筋コンクリート造とレンガの家はどんな人に向いている?
鉄筋コンクリート造の家とレンガの家の共通ポイントは多くありますが、鉄筋コンクリート造ならではのモダンなデザインが好みな方は鉄筋コンクリート造を選択すると良いでしょう。また、地震に対する強さを求める方は、鉄筋コンクリート造の家をおすすめします。過去に起きた震災において、建物の被害が一番少なかったのが鉄筋コンクリート造です。
一方で、ヨーロッパ風のおしゃれなで上品な外観の家に憧れている方や、定期的なメンテナンスが面倒な方は、レンガの家が良いでしょう。自然素材だからこそ感じられる、やさしい温もりを日々感じたい人にもレンガの家はおすすめです。高齢者や小さなお子さまがいる場合も、工業用素材が用いられている鉄筋コンクリート造の住まいより、レンガの家の方がより安心して暮らしていけるでしょう。