セメントの特徴
セメントとは?
セメントは主にコンクリートを作るために用いられている材料の一つです。石灰石や粘土で作られた粉末で、そのセメントと水、細骨材、粗骨材、混和材料などを混ぜ合わせることでコンクリートになり、言わばつなぎの役割をしています。また、モルタルを作る材料にもなるのが特徴です。このモルタルはセメントと砂と水を練ったもので、主に石材やレンガなどの接着剤として使われています。
セメントの建築材としての特徴
膠着性(接着性)
セメントは物と物を膠着させる無機質接着剤の総称です。したがってセメントは接着性を持っているわけですが、セメントだけだと粉の状態なので、接着性を発揮できません。
セメントは水と混ざりペースト状になることで、柔らかいうちに物と物の間に入り密着します。そこから乾燥して固まることで、接着性を持つという仕組みです。これは鉄筋コンクリートをみると分かりやすいのですが、セメントとそのほかの材料を混ぜ合わせて作られたコンクリートを鉄筋が組まれた型枠に流し込む。そして乾燥させ固めると、鉄筋とコンクリートが接着し一体化することで強い鉄筋コンクリートが完成します。
水硬性
セメントは水硬性があります。とは言えセメントそのものは粉状です。この粉状のセメントに水を混ぜ合わせると化学変化を起こし、いずれ硬まります(水硬性)。この性質はコンクリートでビルのような建築物を建てる時に一番重要となる性質です。
コンクリートはセメントと水、細骨材、粗骨材、混和材料を混ぜ合わせて作られるので、固まる前は液状になっています。この液状がいずれ硬まるという水硬性があるからこそ、思い通りに建築物を形作れるのがポイントです。たとえ曲面や突起したものであっても、セメントの水硬性を利用すればさまざまな形態を作れます。
収縮性
この収縮性はあまりいい特徴ではありません。セメントは水を加えると膨張します。これが硬まると、逆に収縮を起こすのです。これが原因でコンクリートのひび割れが起こります。これは建築物にとって、経年とともにケアしていかなければいけません。
ひび割れにも種類があり、内部温度が低下した際に自由に収縮できず起こる外部拘束型のひび割れ、中心部の膨張圧で表面が引き裂かれる内部拘束型ひび割れがあります。
建築材としてのセメントの種類
セメントはポルトランドセメントと、ポルトランドセメントと混合材料を合わせた混合セメント、そして特殊セメントに大きく分かれます。環境やこだわりに合った家を建てる際には、一つ一つの特徴を知っておくことが大切です。
ポルトランドセメント
一般的に、セメントはポルトランドセメントを指します。ポルトランドセメントは使えるシーンがとても多い、汎用性の高いセメントであるためです。このポルトランドセメントは国産で明治8年から作られており、その中にも使うシーンに合わせて複数の品種があります。一般的な建築に使われるのは、ポルトランドセメントや短期で高い強度になる早強ポルトランドセメントなどです。
シリカセメント
シリカセメントはシリカ(二酸化ケイ素)を含む天然シリカ質とポルトランドセメントを混合してできるセメントです。混合するシリカの量によってA種、B種、C種とさらに分かれます。特徴は一定の強度まで硬まるスピードが遅く、またセメントが硬まる際に発生する熱は低いことです。
フライアッシュセメント
石炭火力発電所で発生する石炭灰のフライアッシュとポルトランドセメントを混合したセメントです。ポルトランドセメントだけを使ったコンクリートよりも、フライアッシュを混合したほうが長期にわたり強度を高く維持できます。耐久性が高いコンクリートができるのがメリットです。また、硬化時の収縮も少なくひび割れのリスクが低いとされています。このセメントは水密性が高いので、ダムや港湾などで使用されることが多い接合材です。
高炉セメント
高炉セメントは高炉スラグ微粉末という製鉄所で、銑鉄を製造する際に出る副産物をポルトランドセメントと混合したものです。長期強度の増進性に優れている反面、初期強度は高くないので早期に強度を必要とする構造物には適していません。
セメントを使った家の魅力
鉄筋コンクリートのマンションに住んだことのある人なら体感したことがあるかもしれませんが、遮音性の高さが挙げられるでしょう。木造の家だと、隣の部屋や階下の物音などは音がほぼ筒抜けになりやすいのがデメリットです。外部の音も聞こえますし、逆に内部の音が外に聞こえていることもあります。
また、耐久性も高いのも魅力の一つです。定期的なメンテナンスを行えば、100年だって住めます。あとは耐火性に優れているため、隣が火事になった場合などの延焼から我が家を守ってくれるでしょう。
建築材料としてセメントと石材の似ている点
建築材料としてセメントと石材の似ている点ですが、質感はとても似ています。また、丈夫さという点はまさに共通点と言えるでしょう。あとは一般の家の建築に用いられることはそう多くないということ。水にも強いという点もあります。また、一般の木造の家などでも玄関の土間や縁側、庭などに使われることが多いのも類似点かもしれません。ちなみに石造りの家は建築基準を満たさないので建てられません。
セメントを使ったコンクリートはマンションやビルにこそ使われますが、一般の住宅に使われることは比較的少ないと言えます。使われるとすれば、高級住宅など一部分に限られるでしょう。一般の住宅に多く使われない理由として、木造建築に比べてコストが大きいことが要因です。
建築材料としてセメントと石材の異なる点
建築材料としてセメントと石材の異なるポイントの一つが重さです。石は重い上に加工がかなり大変なので、思い通りの形にするにはコストも労力もかなりかかってしまいます。それに対してセメントは水やその他の材料と混ぜるとコンクリートになり、そのコンクリートは固まる前は液状です。だからどんな形にも形成しやすいというメリットがあります。
そもそも、建築基準法の関係上、石はあくまでも装飾での用途でしか使うことはできません。ただし、磨けば光沢が出てとても美しい石もあるので、装飾として採用するのも良いでしょう。
建築材料として、木材と石材どちらがよい?
石材に関しては装飾として使うのをお勧めします。何より重量があるので運搬するのにもお金がかかるのがデメリットです。もし石材を選ぶのであれば、大理石をあしらったり庭を作るために置いたりなどの用途で使うのが良いでしょう。木材は建築材料にくらべると安価に、しかも希望のデザイン、間取りに沿うカタチで家を建てることができます。また、何より木の温もりに引かれている人は木材を使った家を建てることをお勧めです。