建築材料としての石材の特徴
建築材料としての石材の特徴
天然の石材を建築材料として使用する歴史は古くからあります。石材を使って建てられた歴史的建造物は多く現存しているのがその証拠です。石は重いし、切り出すのがとても手が掛かる。それでも多用されたのは、やはりその高い耐久性にあったのではないでしょうか。
現代では耐震基準をクリアできないため、石材を積み上げた家は造れません。ただ、一部分に建築材料として必ずと言っていいほど今でも建築に取り入れられてもいます。現代では石材の美しさに光沢や独特の模様など、建築物をより美しくデザインフルにしてくれる効果を持っているのが魅力です。
耐火性
総じて石材は耐火性が高い建築材料です。安山岩や砂岩、凝灰岩などは例え1000度以上の高温になっても強度にはほとんど変化しません。砂岩はむしろ温度が上がれば上がるほど、圧縮強度が上がっていきます。
逆に花崗岩は温度の上昇とともに圧縮強度が下がっていくのが特徴です。一部の石材は耐火性が低いため、場合によっては採用できません。もし構造材に使うとなれば温度上昇で圧縮強度が低下し、圧壊してしまう恐れがあります。
無垢材だということ
石材は無垢材なので、そのままの状態で使用できます。無垢材とは、集めて形成されたものではなく天然の素材です。傷がついた場合は、削ってきれいにできます。再生させることで、半永久的に使用できるのが石材の魅力であり特徴のひとつです。
水を透してしまうことによるトラブル
石材は水を透してしまうという特性があります。これが原因で様々なトラブルが引き起こしてしまうかもしれません。ジュースなどの液体をこぼした時、そのままにしたら浸み込んでしまいシミになってしまいます。
中には鉄分が含まれている石材もあり、水が浸み込むことでその鉄分が反応してしまい錆びてしまう可能性もあるのがデメリットです。他にも石材の表面の裏側に水が回ってしまうことで、表面が濡れたまま乾かなくなってしまうというトラブルも考えられます。
酸性に弱い石もある
建築材料として使用頻度の高い石材は、大理石や御影石です。御影石は風雨や摩耗に強いので、墓石としても多く使われています。大理石とともに表面をツヤツヤに磨き上げて使われることが多いのが特徴です。しかし、これらの石材は酸性物質にとても弱いという性質を持っています。炭酸飲料などの酸性の液体をこぼしたとしたら、ツヤツヤに磨かれた表面が溶けてしまうかもしれません。マイナス面ではありますが、これも特徴のひとつです。
建築材料としての石材の種類
建築材料としての石材は火成岩、堆積岩、変成岩という3つの大きな分類で分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
火成岩
火成岩とは地下のマグマが冷えて固まり、結晶となった岩石を指します。冷えて固まったスピードによって火山岩と深成岩に細かく分類されるのがポイントです。火山岩は地表近くで急速に冷やされてできます。総じてキメが細かい石になるのが特徴です。
一方で、地下の深い場所でゆっくりと冷えて固まったものが深成岩と言います。火山岩と比べてキメが荒いのが特徴です。成分はどれも似ています。
安山岩
安山岩は火山岩の代表的な一種です。国内でも産出しており、地表付近で急速に冷やされてできます。そのほとんどが地表付近に露出しているのが特徴です。急速に冷やされて固まったことにより、キメ細やかな生地となっています。
安山岩は
- 斜長石(しゃちょうせき)
- 角閃石(かくせんせき)
- 長石(ちょうせき)
などでできていますが、これを組成鉱物と言います。組成鉱物によって色などが決まってきますが、総じて色調は灰色で、その中に白や黒の斑点があるのが特徴です。
花崗岩に次いで墓石として多く使われており、庭石や石垣などにも採用されます。その耐久性や耐火性がとても優れていることから、砕いてコンクリート用骨材として、セメントと混ぜ合わせてコンクリートを作る材料としても使われている石材です。
花崗岩
花崗岩は深成岩に分類されます。地中の深い場所でマグマがゆっくりと冷やされ固まった石材です。地球で多く存在する岩石と言われているこの石材。御影石とも呼ばれていますが、これは兵庫県の御影エリアで産出した花崗岩を御影石と呼んだことが発祥です。花崗岩全般が石材業界で御影石と呼ばれています。
花崗岩の組成鉱物は
などです。
硬度や耐久性に優れており、建築物では外装に使われています。墓石にも多く使われていることからも分かるように、長きにわたりに美しさも保たれるのが特徴です。
花崗岩はマダラな模様でさまざまな色があるのもメリットでしょう。一方で問題点もあり、その硬度から加工費がとてもかかります。鉄分を含んでいるので、水分の侵入によりサビが出ることもあるのがデメリットです。耐火性という点でも、他の石材に比べやや劣ると言われています。
堆積岩
堆積岩は
- 泥
- 砂
- 礫
- 火山灰
などの粒が海底や地表で堆積してできた岩です。その堆積物の内容によって細かく分類されています。化石をよく含む岩としても有名です。
石灰岩
主成分は炭酸カルシウムです。とても柔らかい石材なので、傷がつきやすいのが出メリットです。酸に弱い性質も持っており、主に室内の水気のない場所に使われています。
砂岩
主に砂が堆積してできた岩を砂岩と言います。砂が堆積しているので、手触りはザラザラしているのが特徴です。耐火性が高く、耐酸性も優れています。柔らかく加工がしやすいのが特徴です。ただし、吸水性が高いので使い方を間違えると風化しやすくなります。
粘板石
粘板岩はヨーロッパでも古くから建築材料として使われています。数百年にわたり、雨風に耐えられる耐久性を持っている石材です。別名をスレートと言い、板状の組織を持っていることから屋根用に加工できます。スレート屋根という屋根の名前にもなっており、何百年と風化しない屋根として重宝されているのが魅力です。
変成岩
変成岩はすでに岩石となっているものが、地殻変動により圧力や熱などを受けることで再結晶化した岩石のことを言います。
大理石
大理石と言えば、誰もが知っている高級石材です。その美しさから、主に内装材として使われています。よく使われる理由は美しさだけではなく、柔らかく加工がしやすいという点もポイントです。色が様々あるのも人気の1つでしょう。混入鉱物によって白っぽいものから緑がかったものに黒いものまであります。
欠点は柔らかく繊細なので、風化の耐性が強くありません。屋外での使用は適しておらず、酸にも弱い石材です。室内で使うにしても、メンテナンスが必要となります。
建築材料として、石材とレンガの似ている点
建築材料として石材とレンガの似ている点を挙げるとすれば、見た目としての美しさを持っているというところです。これは建築でも重要なポイントで、デザイン性に関わってきます。実用性や機能性ももちろん大事ですが、美しさが長い間続くことを重視するうえで石材は良い素材として採用できるでしょう。
また、装飾として使われることが多い建築材料だという点も似ています。レンガや加工された石が売っているので、ガーデニングで手軽に使うことができるのもポイントです。反面、積み上げるだけという観点から見ると強度不足は否めません。
単体での強度としては、木材よりもかなり高いのが石材とレンガです。耐火性が高いのも、共通点と言えます。石材やレンガで窯が作られるのは、その耐火性の高さを活用するためです。
建築材料として、木材と石材の異なる点
大きく異なる点は、石材メインで家を建てることは耐震基準の問題でできないことでしょう。木材は加工しやすいのに対して、石材は加工がとても大変だという点も違いとして挙げられます。建築現場でサイズを変えるために削るなんてことはできません。また、加工が大変な分、コストも高いのが石材のデメリットです。
石材を使う建築物は、主に外装で石材は使われます。ビルのような大型建築物での使用がメインです。外装で使われることが多い分、模様も肝心な要素として数えられます。好みの問題で外国産の石材が多く輸入されているのも、木材とは異なる点と言えるでしょう。
建築材料として、木材と石材どちらがよい?
木材と石材どちらが適しているか。人それぞれと言えばそこまでですが、どちらも天然の素材でありそれぞれメリットはもちろんあります。木材は一番普及している建築材料であり、加工しやすかったり利便性が高い。その分、費用も抑えられます。温かみのある明るい柔らかな家を理想としている人には木材がやはりいいのではないでしょうか。
石材はかなりスタイリッシュで高級感があります。一方で暗めの色の石材ならば室内の内装に使った際、灯をともしても暗い印象を感じてしまうかもしれません。耐久性や耐火性は木材より高いので、安全を求める人には適していると言えるでしょう。