レンガの家を建てるなら平屋?二階建て?
レンガの家をいうと、二階建てや三階建ての瀟洒な邸宅風をイメージしがちですが、最近では素敵なデザインの平屋建ても登場しています。こちらでは平屋建てと二階建て、それぞれのメリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどを解説していきます。
平屋のメリット
まずは平屋建てのメリットを紹介していきます。
生活導線が短い
階段の上り下りがない平屋建ては、二階建て三階建てより生活導線が短いのが特徴です。プランニングの段階で水回りと家族の共有スペースをまとめておくと、あまり動き回ることなく家事ができるようになります。
二階建て以上の住まいの場合、掃除は掃除機を持ちながら階を移動することになったり、洗濯は物干し場が二階や三階のベランダにあると洗濯物を干すための上り下り、干し終わった洗濯物を異なる階の各部屋へ仕舞うことになり大変です。
このように階段を使わずに同じフロアを移動して解決できる平屋建てと、二階建て以上の住まいの家事導線の長さは一目瞭然。この導線の長さは、齢を重ねるごとに足腰への負担も大きくなります。
家族のコミュニケーションが取りやすい
二階建て以上の住まいより、平屋建ての住まいの方が家族間のコミュニケーションが取りやすいと言われています。それは玄関から子供部屋への導線に関わっています。
平屋建ての場合、玄関から共有スペースを通ってから寝室へ向かう間取りが多いです。その反面、二階建て以上の住まいの場合は玄関の近くに階段があることが多く、思春期のお子さんなどは玄関から直接寝室へ行ってしまうケースが多々あるからです。
家族同士がお互いの存在を同じフロアで感じる安心感と、自然なかたちで顔を合わせる機会が増えるのが平屋建ての魅力です。
災害に強い
地震の多い日本において、耐震性の高さは家づくりや家選びの大きなポイントです。地盤や基礎作り、同じ強度で設計されたとしても、平屋建ての方が二階建てや三階建てより重心が低いため、安定していると言われています。また地震だけでなく火災などの災害においても、一階から素早く外へ避難できるポイントも利点と言えるでしょう。
バリアフリーに向いている
階段のある二階建てより、玄関から共用スペース、寝室までひとつのフロアで賄える平屋建ての方がバリアフリーに向いています。老後まで暮らす予定の住まいであれば、平屋建ての方が安心できます。
平屋のデメリット
広い土地が必要
水回りや居間などの共有スペースと家族に寝室をワンフロアに設ける平屋建ては、一定以上の敷地が必要です。地方土地や駅から離れた場所などであれば、土地の確保は難しくありませんが、大都市圏内で平屋を建てようとすると土地の広さの確保と価格がネックになり実現が困難かもしれません。
周辺環境の影響を受けやすい
平屋建ての住まいは、敷地の周囲環境によっては向いていない場合があります。例えば高い建物が多い環境で平屋を建てると、日当たりや風通しが悪くなってしまいます。また現在は空き地であっても将来はビルが建つ可能性なども考慮しなくてはいけません。
平屋建ての設計プランを立てている人は、周辺の建物の高さや条件などの情報を集めてから話を進めましょう。
部屋数を確保しづらいことも
平屋建ては連続的な空間にする目的に設計されていることが多く、二階建て以上の住まいに比べると部屋数が少なくなりがちです。よほど広い敷地に建てる場合を除き、書斎や趣味の部屋などの部屋数を確保するのが難しい傾向にあります。
冷房効率が悪くなることも
平屋建ての住まいは二階がないため、太陽熱が屋根から屋内に伝わりやすくのがデメリット。夏は冷房効率が低くなる可能性があります。また間取りや設計によりますが、ひとつの空間が広くて天井が高い平屋の場合は、冷気がたくさん必要になり光熱費が高くなってしまいます。
二階建てのメリット
つぎに二階建てのメリットについて紹介します。
部屋数を確保しやすい
平屋建てと同じ敷地面積であれば、二階部分を作ればそれだけ部屋数を多く確保できます。近年都心部で建てられる三階建て住宅は珍しくありませんが、それは限られた土地を有効に使って部屋数を多く確保できるからです。
プライバシーが確保しやすい
二階建てや三階建ての住宅は、寝室を共有スペースと別の階に設けるのが一般的です。階を隔てることで家族間のプライベートな空間を得られやすいのが特徴です。
また二階建ての上部は、通行人など外部からの視線や物音を平屋より妨げられるためプライバシーを確保しやすいというメリットもあります。
二階建てのデメリット
生活導線が長い
二階建てのデメリットは、生活導線・家事導線が縦方向に長いことです。特に掃除と洗濯などの家事は歳を重ねるほど階段の上り下りがきつくなります。平屋建ての場合、たとえ広くても横移動なので、階の移動に比べると足腰への負担が軽減します。
家族のコミュニケーションが取りにくい
二階建て以上の住まいの場合、玄関から直接二階の心室へつながる間取りが多いようです。そうなると年ごとのお子さんの場合、なかなか共有スペースで顔を出さず、家族間のコミュニケーションが取りにくくなるケースが多くようです。
高齢になると生活しづらい
お子さんが独り立ちをして子供部屋を使わなくなると、二階はほとんど使わなくなるという話はよくあります。年齢を重ねるほど階段の上り下りがきつくなり、二階はもはや物置状態という話も。二階建ては車椅子での移動にも向いていないため、一階に全ての生活環境を整えてしまう高齢者は多いようです。
平屋と二階建ての建築費用の違い
一般的には平屋の方が建築費用は高いと言われています。それは基礎や屋根のコストが高いからです。ただし延べ床面積や建坪、設計によっても異なるため、一概にどちらの建築費用が高いのかは明言できません。
外壁や工事費用は二階建てのほうが高い
同じ坪数で住宅を建てた場合、二階建ての住宅は平屋より外壁が大きくなり、延べ床面積も広くなるため工事費用は高くなります。
基礎と屋根の費用は平屋建ての方が高い
仮に平屋建てと二階建ての延べ床面積が同じ場合は、平屋建ての方が広い面積の「基礎」と「屋根」を必要とするため二階建てよりコストは高くなります。外壁のコストより、基礎と屋根に掛かる費用の方が高くなるため、一般的に平屋の方が坪単価は高くなると言われているのです。
平屋と二階建ての税金の違い
土地と家に課せられる税金には「固定資産税」と「都市計画税」があります。
仮に「同じ広さの土地で同じ延べ床面積」という条件で平屋建てと二階建ての課税を比較した場合、土地にかかる固定資産税は広さが同じなので同額です。
しかし建物については、平屋建ては二階建てより資材を多く使っているぶん、資産価値が上がるために課税も平屋建ての方が高くなる可能性があります。
平屋と二階建ての選び方
土地で考える
快適に平屋建てで暮らすには、ある程度の土地面積が必要です。また土地の形、地域ごとの建ぺい率によっても建築面積が変わります。平屋と二階建てのどちらが良いか、検討している人は土地の広さや建ぺい率から選んでください。
費用で考える
平屋にしても二階建てにしても、土地と建築費用の予算は重要な要素です。これから家を建てようとする方は、まずは使える予算を明確にしてください。
「同じ面積なら平屋のほうが高い」というのが定説ですが、これは施主が希望する間取りやスタイル、内装によっても大きく変動します。限られた予算内でどの要素にプライオリティを置きたいのかを検討することが大切です。
ライフスタイルで考える
家族構成と将来のライフスタイルを見据えて選びましょう。
お子さんのいる若いカップルであれば、二階建てでも平屋でも問題はありませんが、子育てが終わっている年配の方であれば、階段のない平屋建てがおすすめです。
最近では将来リフォームしやすいように、あらかじめ水回りや構造体の間仕切りを工夫していたり、エレベーターの空間を確保した二階建て以上の住宅もあります。平屋建てにしても二階建てを選ぶにしても、将来を見据えたプランを選択しましょう。
まとめ
平屋と二階建てには、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらを選ぶかは家族構成やライフプランニング、生活スタイルによって変わってきます。レンガの家の場合は耐久性があります。建て替えせずに住み続ける可能性を踏まえ、将来を見据えたプランニングを検討してください。